バンクシー

バンクシー（Banksy）は、イギリスを拠点とする招待不明の覆面ストリートアーティストです。本名や正確な素性は謎に包まれており、その匿名性こそが彼の作品の重要な要素となっています。

2000年頃からブリストルを中心に活動を開始し、ステンシル技法を用いた政治的で社会批判的な作品で注目を集めました。彼の作品は反戦、反資本主義、反権威主義的なメッセージを込めており、しばしば皮肉とユーモアを交えて社会問題を提起します。

代表作には、パレスチナの分離壁に描いた「Flower Thrower」、風船を持つ少女を描いた「Girl with Balloon」、大英博物館に無断で展示した偽の洞窟壁画などがあります。その他ににテート・ブリテン、ルーヴル美術館、ニューヨーク近代美術館など著名な美術館に無許可で作品を展示し、話題となりました。

近年では正規のギャラリー展示も行い、2015年にはテーマパーク「ディズマランド」をイギリスで開催。2018年にはサザビーズのオークションで「Girl with Balloon」が100万ポンドで落札された直後、額縁に仕込まれたシュレッダーで作品が裁断されるという前代未聞の出来事を演出し、世界中の注目を集めました。

バンクシーの作品は街頭から美術館まで幅広く展示され、ストリートアートを現代美術の文脈に押し上げた功績は計り知れません。彼の匿名性と反体制的なメッセージは、現代社会における芸術の役割と可能性を問い続けています。商業的成功を収める一方で、反資本主義的なスタンスを維持し続ける矛盾も、彼の作品の魅力の一部となっています。